2003年11月17日
コベルコ建機株式会社

米国マニトワック社とのクレーンメニュ－相互補完について

〜マニトワック社への米州向けクローラクレーン(LBCC)のOEM供給〜
〜グローブ社からの日本向けオールテレーンクレーン(ATC)輸入〜

 

コベルコ建機株式会社(以下、コベルコ建機)は、世界的な移動式・定置式クレーンメーカーであるThe Manitowoc Company Inc.社傘下のManitowoc Cranes, Inc.(以下、マニトワック社)との間で、マニトワック社が現在、開発・製造・販売している米州市場向けのクローラクレーンメニューのうち、US150tonクラス以下のメニューを、コベルコ建機が開発・製造し、日本からマニトワック社に対してOEMベースで供給する契約を締結しました。また同時にコベルコ建機は、The Manitowoc Company社傘下のGrove Worldwide社(以下、Grove社)が現在、開発・製造・販売しているオールテレーンクレーンを日本向けにOEM供給を受け、コベルコ建機が独占的に販売・サービスを実施することに関し、基本合意に達しました。

 

1.　契約および基本合意の概要

 

(1)マニトワック社に対してOEM供給するマニトワックブランドのクローラクレーンは、US 150tonクラス以下の4機種を米州に供給します。
(2)一方、現行のコベルコ独自の流通を通じたKobelcoブランドでのクローラクレーンの開発・製造・販売・マーケティングも継続します。
(3) 両ブランドによるクローラクレーンの間で、差別化を図りながら、コベルコ主導にてプラットフォームエンジニアリングを実施することにより、開発コストの低減・生産効率の向上・調達コストの削減を目指します。
(4)Grove社が世界的に開発・製造・販売・マーケティングしているオールテレーンクレーンを、コベルコ建機が日本へOEMにて輸入し、コベルコブランドで独占的に販売・サービス・マーケティングを実施します。

 

2.　相互メニュー補完の狙い

 

(1)世界のトップメーカーであるマニトワック社の強力な米州流通網にマニトワックブランドのクローラクレーンをOEM供給することにより、販売高と利益を拡大させます。
(2)クレーンメーカーとして豊富な経験に裏打ちされた世界的にトップクラスの両社が組む事によって、より一層顧客ニーズを反映したクローラクレーンの開発・製造・販売を目指します。
(3)マニトワックにとっては、中小型クローラクレーンの開発・製造をコベルコからのOEM供給の形態で代替することにより、得意とする大型クローラクレーンの開発・製造に注力することが出来ます。
(4)コベルコ建機が現在開発・製造・販売しているラフテレーンクレーンに加えて、Grove社が開発・製造しているオールテレーンクレーンを日本へ輸入し、新たに取扱いメニューに加えることにより、ホイールクレーンメニューのラインアップの拡充を通じて、ユーザーの多様な要望に応えます。

 

3.　コベルコにおける背景

 

　足下のクローラクレーンを中心とする建設機械の国内需要は徐々に回復傾向にあるものの、土木建設関連の回復遅れは依然として底ばい状態が続いています。かかる状況にも係らず、2003年上期には日本のクローラクレーン市場において第1位シェアを奪回いたしました。他方、ラフテレーンクレーンの市場においては、レンタルチャージ単価の向上が依然見えず、全般的にユーザーの購買意欲に改善が見られません。その上、一般車のみならず、特殊車両に対する道路輸送規制が厳しくなる兆しも受けて取れます。
　こうした中で、コベルコ建機は1999年の10月の新会社発足以降、スリム化による事業体質の改善や徹底したコストダウン、新商品の相次ぐ投入などを積極的に進めた結果、3期連続の黒字化を達成しています。
　この度のOEM供給は、北米クローラクレーンにおいて14%シェアを有するコベルコと30%シェアのマニトワックへの出荷台数を合算することにより、米州のクローラクレーン市場において事実上のトップクラス入りを実現することになります。
　また、今回のオールテレーンクレーンの日本での輸入が確定した場合には、ホイール系クレーン市場にも入り込むことが可能となります。オールテレーンクレーンの特性としては、軸重配分のバランスにより、高速や一般道における輸送性に優れている面があげられます。
　昨今、建設機械業界においてもグローバルな開発・生産分業を進める傾向が見受けられる中、当社としても、より一層の開発・調達面でのコストの低減が不可欠であるため、今回、米州向けクローラクレーンのOEM供給契約を締結し、またオールテレークレーンの輸入に関し基本合意に達しました。
　当社は、今回のOEM供給を基調としたメニューの相互補完により、これまでコベルコ単独で展開して来たクレーンビジネスのグローバル展開に加えて、コベルコの世界一流の開発・製造の技術力をフルに活用した競争力のあるクローラクレーン商品を、デュアルブランド・デュアル流通にて北米市場へ供給していくと同時に、日本国内へのオールテレーンクレーンの輸入によりホイールクレーン事業の基盤を強化することで、国内外においてグローバル展開を拡充させる為の一歩を踏み出す事になります。

 

＜ご参考＞
【コベルコ建機の概要】

社名：コベルコ建機株式会社
KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY CO., LTD.
創立：1999年10月1日
本社所在地：＜東京本社＞東京都品川区東五反田2-17-1
資本金：160億円 (株)神戸製鋼所 80%、CNH Global N.V. 20%
売上高：2002年度　連結ベース1,574億円、単体べース986億円
代表取締役：石田　孝(いしだ　たかし)
事業内容：建設機械、運搬機械の製造、販売並びにサービス

【マニトワック社の概要】
社名：THE MANITOWOC COMPANY INC.
創立：1902年
本社所在地 ： 2400 South 44th Street, P.O. Box 66, Manitowoc, WI 54221-0066
資本金：US$295百万 NY株式市場にて上場75.9%
売上高：2002年度　US$1,407百万
CEO：Terry D. Growcock (Chairman & CEO)
事業内容：建設機械、フードサービス機器・設備、マリーン関連機器・設備の製造および販売並びにサービス

 

以上