1999年10月13日
コベルコ建機株式会社
新提案型シティコンシャスクレーン『Mobile Tower(モバイルタワー)300TT
およびミニ・シティコンシャスクレーン『LYNX(リンクス)100』の開発・販売について
コベルコ建機株式会社はこのほど、自動伸縮・起伏が可能な新開発の「TTジブ(テレスコピック&チルトジブ)」を装備した新提案型*1シティコンシャスクレーン『モバイルタワー300TT』を開発しました。また併せてミニ・シティコンシャスクレーン『リンクス100』をモデルチェンジし、従来機では7tであった最大つり上げ能力を10tにまで高めました。両機種とも11月1日より販売を開始します。
販売価格および販売目標台数は以下の通りです。
機種名 | モバイルタワー300TT | リンクス100 |
---|---|---|
クレーン能力 | 最大吊上モーメント 30t・m |
最大吊上能力 10t |
販売価格 | 24.6百万円 | 19.0百万円 |
販売目標台数 | 50台/年 | 80台/年 |
販売開始時期 | 11月1日より |
■『モバイルタワー300TT』の主な特長
■『リンクス100』の主な特長
近年の鉄骨建方や住宅建築などの建方作業現場におけるクレーン作業には、狭い街中における作業スペースの確保やクレーンを接地する地盤の強度などのさまざまな制約が存在します。そのため止むを得ず特殊な専用機を用いたり、敷地外から大型のクレーンで作業するなどといった方法をとっています。今回開発した『モバイルタワー300TT』は主に建方用途を想定し、新開発の「TTジブ」とコンパクトな機体によって、それら諸問題の解決を図りました。「TTジブ」により例えば、高い揚程を活かした足場先行工法の住宅建方や、つり荷の水平送り込みによる設備工事での機器据付け作業、並びに高架下の店舗建設作業など、作業占有面積や接地圧の点で有利となるコンパクトさとあわせ、これまでに無い新しい作業方法の開拓を可能にしています。
また『リンクス100』はミニクラス最小のコンパクトさをそのままに、これまで7tであった最大つり上げ能力を10tにまで引き上げ、用途のさらなる拡大を狙っています。
なお両機種共に最大つり上げ荷重4.9t仕様も設定しています。
今回開発した2機種は共に当社独創の「*2スラントブーム」を備えるばかりでなく、フック自動格納機能やさまざまな安全機能・装備など、コベルコ・シティコンシャスクレーンとしての数々の性能を継承しています。当社は今後も、何よりお客様の現場を重視する「ユーザー現場主義」の姿勢を貫き、ますます多様化するユーザーニーズに対応した商品開発を積極的に進めていく考えです。
〔語句説明〕
*1:シティコンシャスクレーン
「荒れ地で使われるクレーン」という意味の「ラフテレーンクレーン」ではなく、都市で使われるクレーンに相応しい名称として名付けた当社独自の名称。
*2:スラントブーム
左方視界向上の為にブームを前下がりとした当社独自のブーム形状。1989年8月に開発されたRK70に初めて採用した。
『モバイルタワー300TT』の主な特長 |
1.新開発の油圧式TTジブを装備。
伸縮と起伏を自在に調整できるTTジブを新たに開発・装備しました。2段伸縮タイプでジブ長さは3.5〜5.8m、負荷伸縮も可能です。また起伏角度は0〜82゜で、ブームと同角度で高揚程を確保したり、対地角水平でつり荷の送り込みを行なうことができます。
(1)16tクラス同等の31.1mの最大地上揚程。
(2)チルトジブ装備の25tクラスに迫る、最長5.1mのつり荷水平送り込み量。
(3)狭い場所でも張出し・格納が可能なセミオート方式。
2.画期的な1ウインチシステムを開発。
1ウィンチ構造の採用により、2ウインチのマシンに比べて操作がシンプルとなるばかりでなく、作業時の燃費やメンテナンスコストも削減できます。
3.新開発の配管内蔵7段ブームを搭載。
ブームを7段伸縮にすることで、コンパクトな車体を維持しながらブーム長さを確保。しかも新たにブーム内配管を採用しているのでブームの突出物が少なく、電線間作業などがスムーズに進められます。
4.ハイドロニューマチックサスペンションを採用
上位クラスで実績あるハイドロニューマチックサスペンションを採用。通常走行時の快適な乗り心地を実現できるのはもちろん、山道走行時や高速コーナリング時のローリングを油圧で確実に吸収し、姿勢変化を抑制します。
名称 | モバイルタワー300TT |
---|---|
型式名 | RK120 |
最大吊上能力(t × m) | 12 × 2.0 |
最大吊上モーメント ブーム長さ (kN・m{t・m}) |
294{30} |
ブーム長さ(m) | 5.2〜23.6 |
ジブ長さ(m) | 3.5〜5.8 |
ロープ速度(m / min) | 115 |
エンジン最大出力(kW / min-1{PS / rpm}) | 118/3,000{160/3,000} |
全長 × 全幅 × 全高(mm) | 7,430 × 2,090 × 2,995 |
全質量(kg) | 15,405 |
単位は国際単位系のSI単位表示で、{ }内は従来表示です。
『リンクス100』の主な特長 |
1.クラス最小のコンパクトサイズ。
スラントブームの採用と画期的な機器レイアウトにより、全長7,030mm × 全幅1,995mmのコンパクトボディを実現しています。
2.クラス最高のロープ速度。
ウインチは高速モードで165m / minのロープ速度を実現しています。また高速巻下が可能になったことでフリーフォールの必要がなくなり、作業の安全に貢献します。
3.アウトリガ張出し幅を10段階に設定。
どんな現場でも能力ロスを抑えた最大定格総荷重が得られるように、張出し幅を10段階にきめ細かく設定することができます。
4.安全へのさまざまな配慮
アウトリガ異張出し状態での旋回で、吊り上げ能力の低下する危険領域をランプと警報音でオペレータに知らせる旋回領域警報装置、過負荷防止装置への入力ミスを防止するアウトリガ張出し幅自動検出装置、ブーム角度、揚程、作業半径などの安全作動範囲をあらかじめ任意に設定できる作業領域制限装置など、先進の安全機能を備えています。
『リンクス100』の主要諸元
名称 | リンクス100 | |
---|---|---|
型式名 | RK100 | RK100M |
最大つり上げ能力(t × m) | 10 × 2.0 | 4.9 × 3.7 |
ブーム長さ(m) | 5.1〜21.2 | |
ジブ長さ(m) | 2.8 | |
ロープ速度(m / min) | 高速165/標準104 | |
エンジン最大出力(kW / min-1{PS / rpm}) | 103/3,000{140/3,000} | |
全長 × 全幅 × 全高(mm) | 7,030 × 1,995 × 2,760 | |
全質量(kg) | 11,825 |
単位は国際単位系のSI単位表示で、{ }内は従来表示です。
以上