コベルコの主力製品であるマスターテック・シリーズおよび、土木・基礎工事専用のBMシリーズ。その後継機として、それぞれマスターテックGシリーズ、BM-Gシリーズの開発が計画された。クレーンを取り巻くさまざまな環境変化と、そこから生まれる新たなお客様のニーズに応える、次世代クレーンを一から作ろうというのである。
「直接的な背景は、日本や欧米で2011年にクレーンの排ガス規制が強化されることがありました」。こう振り返るのは、今回の開発の指揮を取った丹治雅人だ。この排ガス規制への対応をはじめ、輸送性や省エネ対応といった、お客様や時代をとりまく新たなニーズを織り込むためにドラスティックな改革が必要だった。
開発に先立って、念入りにお客様のニーズを調査。その結果分かったのは、予想以上に大きな「輸送環境の変化」だった。西日本営業室の高山晃は、「輸送規制の厳格化により、輸送時のクレーン本体の幅は3m未満が絶対条件でした」と語る。これは、従来モデルより20cmのスリム化をしなければならないことを意味する。
さらに重量も徹底して減らす必要があった。ほぼすべての国道で有利な通行許可を得るには、クレーンの分解後重量を約26tにできるまで軽量化しなければならない。
いくつもの困難なハードルを前に、開発はスタートした。